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千本鳥居で有名な伏見稲荷大社は、全国の3万をこえる稲荷社の総本宮です。狐のイメージがありますが、ご祭神は狐ではないんですよ。奈良時代に創建され、平安京の五条以南を氏子地域とし、五穀豊穣・商売繁盛で絶大な信仰を集める「お稲荷さん」をご紹介しましょう!
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伏見稲荷大社の沿革
伏見の深草は古くから渡来系氏族の住んでいたところで、聖徳太子の祖父である欽明天皇の時代にすでに秦大津父(はたのおおつち)という人物が記録に残っています。
神社としては、奈良時代の和銅四年(711年)に秦伊呂具(はたのいろぐ)が、東山三十六峰の南端にあり、三つの峰からなる稲荷山に三つの社を建てて、お祀りしたのがはじまりとされています。
主祭神は宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)で、農耕の神様です。イナリとはイネナリが転じたもので、『山城風土記逸文』には、伊呂具がお餅を的にして矢を射たところ、餅は白鳥となって山の峰に飛び去り、白鳥が留まったところに稲が生えたのでイネナリ社をまつった、とあります。
ではなぜ狐なのでしょう?狐は五穀豊穣の「みけつ神」が訛って「けつね」になったのではないかといわれ、平安時代にはすでに由来の説話(志の高い狐のおはなし)が残っていますが、神使とされたのは中世からのようです。
平安時代の天長四年(827年)には、淳和天皇の体調不良が、空海が東寺の五重塔を建てる際に稲荷山の木を切り出した祟りだとされ、従五位下の神階が授けられました。
その後、神威は増し、天慶5年(942年)には正一位となりました。平安京の五条より南が氏子地域で、東寺の鎮守社にもなり、密教的な神仏習合も行われました。祭礼の際の東寺神供は現在でも行われています。
秀吉きっかけで稲荷信仰が広がる
平安時代から天皇をはじめ歴史上の有名人が参拝し、熊野詣の行きかえりには必ず稲荷に参拝する習慣もできました。
さらに、稲荷信仰が全国に広がったのは、豊臣秀吉が伏見城を築城し、城下町に全国の諸大名が居住したこと、京への街道筋になったこと、何より秀吉自身が伏見稲荷を厚く信仰したことがきっかけといわれています。
社殿は元々は山の上にありましたが、永享十年(1438年)に山麓に社殿が造営され、併存するようになりました。応仁の乱で破壊された後に再建、現在の本殿は豊臣秀吉が母の大政所の病気が本復したことに感謝し、天正十七年(1589年)に修理したものです。
境内には他に、江戸時代に後水尾天皇が下賜した、桃山時代造立で重要文化財のお茶屋や、江戸中期の国学者・荷田春満(かだのあずままろ)の生家(国の史跡)などがあります。
伏見稲荷大社のおすすめポイント
参拝後のおすすめは、世界的にも有名な千本鳥居です。稲荷山には全体で約1万基をこえる鳥居があるといわれています。全て朱色で塗られていますが、これは生命・大地・生産のご祭神の働きを表す色で、稲荷塗と呼ばれています。パワーを感じながら歩いてみてください。
大変美しくフォトジェニックな光景ですが、参拝される方が多いので、写真撮影の際にはご注意くださいね。千本鳥居は本殿の右手にありますが「人がいっぱいで写真が撮れなかった」という時には、本殿左手の、稲荷山に登る参道にも鳥居が並んでいます。
稲荷山には参道がめぐらされ、一ノ峰(標高233メートル)~三ノ峰、薬力社など様々なお社があります。清少納言も『枕草子』の中で、汗をかきながら登ったと書いている稲荷山の聖地はめぐり甲斐があります。
歩きやすい靴でお出かけください。休憩できるお茶屋さん(有名俳優さんの実家です)もありますし、荒神峰の裏側からは、京都市内中心部が良く見えますよ!
マニアックなおすすめ
門前では昔から「雀の丸焼き」が売られています。由来としては稲を食べるからとか、お供え物だったのではなど諸説あるようです。なにぶん雀なので肉感は少なく、パリポリと香ばしさを味わう感じです。
最近は国産の雀の数が少なく、売り切れ御免のレア食材になりつつあるんですよ。見た目に抵抗があるかもしれませんが、せっかくですので思い切って食べてみましょう!
伏見稲荷大社の観光情報
所在地 | 京都府京都市伏見区深草薮之内町68番地 |
交通アクセス | JR奈良線稲荷駅すぐ
京阪電車伏見稲荷駅より徒歩5分 市バス 稲荷大社前 バス停より徒歩8分 |
拝観時間 | ご祈祷受付は8時30~16時 |
料金 | 無料 |
備考 | 駐車場有(公共交通機関の利用をおすすめします) |
伏見稲荷大社はこんな人におすすめ
お商売をされている方におすすめです!お稲荷さんと言えばやはり商売繁盛。全国の商売人の崇敬を集めています。初詣はもちろん、毎月一日には必ずお稲荷さんに詣でるという社長さんは多いですよ!
また、二月の初午(はつうま)大祭もおすすめです。初午大祭は、京都の早春の大きなお祭りで、ご祭神が稲荷山に鎮まった和銅四年(711年)の初午の日にちなんで行われています。福詣・福参りともいいます。旧暦ですので毎年日が変わります。
参拝者には「しるしの杉」が授与されます。しるしの杉とは、平安の昔から熊野詣の行き帰りにはお稲荷さんをお参りし、帰りには境内の杉の枝をつけて都に入るとされた、お稲荷さん参拝のしるしです。
本殿をはじめ、境内のお社に二日前から杉と椎の枝で作った飾りつけがされるのもこの時ならではです。商売繁盛・家内安全のお守りになさってくださいね。
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20年以上のキャリアを持つフリーアナウンサー稲野一美です。全日本カート選手権や86/BRZRaceなど、レース実況をしているほか、テレビ・ラジオ、式典司会も行っている、元 京都きものの女王です。
また、歴史に詳しいことから、京都歴史ツアーガイドでリピート率80%以上を誇る人気ガイドとして多くの常連さんから支持を集めています。
趣味は、寺社仏閣、史跡巡り、ドライブやゴルフ、俳句、囲碁、ボランティアなど幅広く、日々多くの情報と触れ合っています。
【公式サイト】Free Announcer 稲野一美